陶芸の基本(ろくろ編)/土殺し(芯出し)のやり方/連載その9
■ 土殺し (芯出し) のやり方
(元祖陶芸?! 目から鱗が落ちる!)
手びねりや電動ろくろの基本について理に叶った解説をしている参考書は殆どありません。掲載されてる作品などは素敵ですが、内容は写真やイラストの説明をしているだけで、やり方についても何故そうするのかと言うことも書かれていないのです。恐らく修行や独学などで身に付けたものなのでしょう。最近は陶芸の入門書自体が減ってきています。役に立たないからなのです。
You Tube なども以前は陶工さんの動画もあったので、それなりに参考になるものもありましたが、最近は誰でも You Tube 動画を出せるようになったせいか、独りよがりなお粗末なものが多い。どんな動画かと一度は覗いてみるが、二度と見る気がしないと言うか目をつぶりたくなるような動画です。ひどいものだ。海外の人が多く見てるようなので恥ずかしさを覚える。陶芸を知らない人がみたら迷路に入り込むだろう。ますます陶芸離れが進むのではないかと危惧している。
私は陶芸の基本を伝えたい、知ってほしいと思って陶芸の基本となる手法を書いた本『生活にうるおいを与える食器づくり』を自費出版しました。アマゾンでもナンバーワンになったこともある名著?!です。内容は、私が学んできたことや、15年間にわたって教室で教えてきたことです。陶芸の基本の基です。基礎になるオーソドックスな陶芸を知ってほしい。理に叶った手法を伝えて後世に残したいと思っています。そのような想いで、拙著の内容をブログにも要約して開示することにしたのです。正道な陶芸の道 “陶道” が開かれることを切に願っています。
今回は 「土殺し (芯出し) のやり方」について噛み砕いて解説をします。前回掲載した「菊練り」と今回の「土殺し」が出来ないと、ろくろを挽くことは出来ません。この二つは最初は少し難しく感じますが、理にそったやり方をすれば短期間で出来るようになります。「菊練り」 や 「土殺し (芯出し)」 を文章で説明するのは難しいことですが、具体的に解かりやすく説明をします。理に叶ったやり方でないと文章にも書けません。「土殺し」を始めたばかりの生徒さんの写真も添付します。ろくろを始めて 3回目の桐木さんです。2.3㎏ の陶土で行っています。(写真はマスクが強制された一時期ですのでご容赦下さい。今は誰もマスクなどしてません)
尚、陶芸では芯出しをすることを 「土殺し (つちごろし) 」 と言います。慣用語です。
■ 土殺し (芯出し) の仕方
土殺し(芯出し)は、陶土を正円(真円)の形に整えて中心を出す為に行います。電動ろくろは回転によって成形するので、左右対称の正円形 (真円形) にしないと成形が出来ないのです。これから具体的に論理的に解説をします。電動ろくろは 「時計回りの右回転」で行います。
1.菊練りした陶土をろくろ盤の上に置きます。
2.両手で陶土を叩いてろくろ盤に密着させながら形を整えます。ろくろを回転させて最下部を左手中指で締めます。

3.次に、左手の手の平に水を付けて陶土の頂部から全面に濡らします。
4.右手の手の平も陶土の右側面に当てておきます。ろくろを回転させながら行います。
5.水が陶土の全面に行き渡るように両手の平の平で馴染ませます。すべりをよくします。2~3回ほど行います。
これから 「土殺し(芯出し)」 です。陶土を上に延ばす延べ上げをします。
6.陶土を両手の手の平で挟みます。
7.陶土を両手の手の平で挟んで上に延ばすのです。ここからが肝心です。
8.まず、「右手の肘」を右足の太ももの上に置きます。そして「右手の手の平」 を陶土の下に当てます。時計盤の 「4時」 のあたりに当てます。
9.次に、左手を右手の向かい側に添えます。時計盤の “10時” のあたりです。
10.右手を4時、左手を10時の位置に置き陶土を挟みます。これからが本番です。


11.両手の手の平で陶土を挟み込みます。右肘を「右足の太もも」に置いて下さい。左手を向かい側に置いて陶土がずれないように受け止めます。
12.両手で挟んだら、右太ももに力を入れて押して右手の小指の手根部 (つけ根)のラインで陶土を押し込みます。両手の小指のラインで陶土を挟み込んで下さい。
13.グ~ッと満身の力を込めて両手で挟み込むのです。右足の太ももで押します。小指のラインが少しずつ凹んできます。(ここが一番難しいところです。何回もトライしましょう)。
14.小指を当てた所が凹んで溝ができて陶土が上に伸びます。延びて行く陶土を追っかけるように両手を少しづつ上げて行くのです。両手の手の平は全部陶土に当てて包み込んで下さい。



15.なかなか上に延びませんません。何度もトライしましょう。力が要ります。滑りが悪くなったら左手に水をつけ陶土の滑りをよくして何度も行って下さい。
16.何度かやっていると陶土が上に少しずつ延びて行くようになります。
17.陶土が上に延びてきたら挟んだ両手を少しずつ上げて行きます。力を抜かないようにして両手を上げます。
18.何度も繰返して行います。少し上に延びて両手が上まで来たら再度、両手を下に当ててさらに高く細くなるように延ばすのです。何度かやっていると陶土が少しずつ上に延びて高く細くなります。
なお、左手は上に行くにしたがって右手の手の平へ納まるようにします。
19.ある程度の高さになるまで何度も繰り返し下さい。慣れてくると 3、4回ほどで陶土が元の1.5~2倍くらいの高さになります。写真のようになります。(これを延べ上げと言います)
次は 高くした陶土を下にさげて元に戻します。これは楽に出来ます。これを延べ下げと言います。
20.上にある程度高く延べ上げたら、今度は延びた陶土を元の砲弾型 (釣鐘型) に戻します。
21.陶土を下げるときは、 “右手の手の平” を陶土の上部の 「側面」 に当てて握ります。
22.そして、右手の親指の 「指紋部」か「第一関節部」 を陶土の頂部に置きます。
23.左手は、右手の向かい側の面の下の方に当てます。回転したまま行います。
24.これから延べ下げを行います。右手の手の平で陶土を 11時の方向に押して下さい。弓なりになるように倒して下さい。そうすると自然に陶土がスルスルっと下へさがります。下げるのは簡単です。尚、下向きに押してはいけません。前方に押して倒すのです。
(写真はろくろを始めて3回目の生徒さんですが、右手の手の平は写真よりももう少し下に置いて前方に倒しましょう)



25.スルスルッと元の砲弾型に戻ります。元に戻ったらまた延べ上げを始めます。慣れるまで何度も陶土の上げ下げを繰り返して下さい。
26.上げたり下げたりを何度も繰り返していると、両手のブレが止まります。陶土の芯が出るのです。陶土が左右対称の正円形(真円形)の円錐になったのです。土殺しの終了です。
最初は両手や両腕が左右にぶれます。両手のブレがなくなるまで行います。何度も行って下さい。何度もやっていると要領がつかめるようになります。一日、二日で出来るようになります。又、要領がつかめると 3、4回ほど上げ下げをするだけで芯出しが出来るようになります。さらに慣れてくると2回ほどで芯出しが出来るようになりますが常時3回くらいは行いましょう。
★ 土殺しのポイントを下記します(目から鱗が落ちます)
次に、どこにも書いないことを書きます。聞いたこともないと思います。目から鱗が落ちます。細かなポイントです。コツが理解できます。理にそったやり方をすれば無駄な時間を費やすことなく短期間で修得できます。拙著 『生活にうるおいを与える食器づくり』 にはこのキーポイントが詳述されています。
1.土殺しは力が必要です。両手で陶土を挟んで押し込む時は、「右足の太もも」 で「右肘」を押します。そして、陶土がズレないように左手で受けて止めるます。「“右足の太もも” と “右肘” 」 に全神経を集中して行って下さい。力がない人でも出来るようになります。右手を右足の太ももで 10時の方へ押して、左手で向かい側から受けて、陶土を挟み込み土殺しを行うと簡単に出来るのです。プロの人たちは、真横から両手で陶土を挟んで土殺しをする人たちが多いですが、腕力がないと難しいです。尚、左肘は左足に付けずに浮かせて下さい。左脇を少し締めるようにします。
2.最初の段階では、陶土を挟んで上げていると、途中で上の陶土が断面切断されることがあります。細くなってくると両手で挟んでる箇所の回転が止まってしまうのです。下の部分だけが回って切断されるのです。切断された土玉は切り離します。土玉が何個も出来ることがあります。誰でも一度は経験することです。上に行くにしたがって陶土が細くなるので、挟む力を徐々に緩めてやらなければなりません。中間部くらいきたら挟む力を緩めましょう。上に行くにしたがって右肘も右足の太ももから離して下さい。
3.土殺し ・芯出しの重要なポイントは、陶土を 「芯から上げ、芯から下ろす」ことです。これが基本です。両手で挟み付けることによって、陶土に求心力が働いて、土が中心から上に延びて行くのです。火山が噴火するようなイメージです。尚、回転が遅いと求心力が発生しませんので、土殺しの時は回転を速くしましょう。
4.また、延べ上げした時に頂部にクレーター状の凹みが出来ることがあります。表面の土しか上がってないからです。陶土を挟み時は、挟み込まれた陶土が中心から火山を噴火させるようなイメージで力をいれて挟み込んで下さい。頂部に凹みが出来なくなればOKです。土殺しの良否を判定する目安になります。陶土を芯から上げて芯から下ろさなければいけません。これが一番大事なことです。
尚、クレーター状の凹みができた時は空洞が出来るので、すぐに右手の手の平の親指の手根部(つけ根・母指球)で中心に向かって押し込んで平らな面にして下さい。
5,土を下にさげるときは、陶土を右手で 「11時の方向」 に前に押し倒します。弓なりに傾けます。そして、弓なりになった所が回らないように、首振りを止めてあければよいのです。自然に下がります。遠心力が求心力に変わるのです。回転していると遠心力が働きます。曲げた所が遠心力で首振りを始めます。この首振りを止めてあげると求心力が働き陶土が中心から吸い込まれるように下がって行きます。土が中心から巻き込まれて下がって行くことが実感できます。「遠心力を求心力に入れ替え」 ればよいだけのことです。下向きに押さえつけてはいけません。
試しに、自分の首を傾けて右に回してみましょう。そして、それを右手で止めてみて下さい。力が首にかかるのが解かりますね。“遠心力” が “求心力” に変わったのです。回転力が首に移動したのです。
延べ下げの時も、弓なりに傾けた陶土が回転するのを止めてあげれば、陶土が自然に下がるのです。中心から巻き込まれるのです。こう言うことは何処にも書いてません。聞いたこともないと思います。見よう見まねで慣れで覚えてきている世界なので理屈を知らないのです。全てに理屈で成り立ってるのです。論理的に理に叶ったやり方を行えば短期間で出来るようになります。理にそった陶芸を行いましょう。
ちなみに、陶土を左手で手前に引いて手前に傾けて回るのを止めても陶土は自然に下がるのです。欧米の陶芸家は手前に引いて傾けて下げています。陶土を手前に引いて傾けて首振りを止めるか、前方に押して傾けて首振りを止めるかの違いだけなのです。押すか引くかは日本人と欧米人の違いなのかも知れません。ノコギリの場合は日本人は引いて切りますが、欧米人は押して切ります。これは逆ですね。また、欧米人は左回転でロクロ挽きをしているようです。
このポイントを理解していれば誰でもすぐに、「土殺し・芯出し」が出来るようになります。コツが掴めましたね。今回の再掲載で付記しますが、こういうことも遠い昔に理工学部の機械工学科を専攻してたことで気付いたことかも知れません。
6.菊練りや、土殺し(芯出し)、 ロクロ挽きは、女性は 2㎏、男性は 2.5㎏くらいの陶土の量で行うとよいでしょう。芯出し後に数挽きする時もこれくらいの量が適量です。そして、軟らか目の土で行うと楽に出来ます。軟らかさは “耳たぶ” くらいの加減です。
「菊練り」 や 「土殺し」 、そして 「ろくろ挽き」 も、毎日やっていればどんなやり方をしても出来るようになります。しかし、それはその人にしか出来ない自己流のやり方になります。我流でしかありません。汎用性がないのです。
誰でもが同じように出来るようにするには、理に叶ったやり方をやらなければなりません。今回ブログに開示したことは、特段に難しいことではありませんが、作陶のコツとも言えるキーポイントなのです。この基本の基が開示されたことによって、陶芸がより広く普及し、身近なものとして浸透することを期待しています。これからは誤解を招くような、陶芸の参考書や、ブログ、そして You Tube 動画も少なくなるでしょう。
電動ろくろは機械です。機械で作るのがろくろ挽きですが、機械まかせにせずに自分の手で作るようにしましょう。基本にそって行ってこそ、温かみのある手づくり作品が出来るのです。
尚、菊練りのやり方も下記の記事に分かりやすく解説してますので、
併せてご覧下さい。菊練りはかなり難しいですが、短期間に習得できます。
当ブログの「陶芸の基本シリーズ(手びねり編&ろくろ編)」の連載記事が
Google や Yahoo 検索のトップページの上位に長期にわたって表示されてましたが、
Gooブログの閉鎖(2025年10月1日)とともに検索サイトから消えてしまいました。
内容は拙著『生活にうるおいを与える食器づくり』を要約したものなのですが、
陶芸の基本を知って作陶に取り組んでほしいと思って2021年にブログに開示しました。
その想いが通じてか連日、多くの人たちがこのシリーズを閲覧されていました。
当ブログへの訪問者は一日に300人くらい(閲覧数はこの2倍くらい)でしたが、
大半が Google や Yahoo からの検索訪問者でした。
特に「菊練りのやり方」「土殺し(芯出し)のやり方」「ろくろの挽き方」は
大勢の人が閲覧されていました。大変役に立つ参考になる記事です。基本の基です。
この記事を再度、皆さんにお届けすることが私に与えられた使命だろうと思い、
4年前にGooブログに連載して好評を得ていたこの「陶芸の基本シリーズ」を
【アンコール企画】として新たにムラゴンブログに再掲載することにしました。
この記事が陶芸に励む人たちに届いて、お役に立てればと祈念しています。
シリーズの連載を始めます。届けみんなに! それが私の切なる想いです。
アマゾンの陶芸ベストセラーでNo.1 にランクされたこともある実用書。
アマゾンへは、こちら をクリック。定価は1,400円です。
リユース本には、5,000円のプレミアムも付いてます!!
<補足> アマゾンで通信販売をしてる時に、クチコミに
嬉しいコメントをいただいていますので記載させていただきます。
「陶芸の最も基本的な所から、
比較的細かいポイントに焦点を合わせて紹介してあるので、
かゆい所に手が届くといった感覚で非常に役に立ちます。
少し学んだ経験がある人でも改めて得るものがあるのでは。
作品集もどれも素敵ですね。」
どなたか存じ上げませんが、ありがとうございます!
自費出版した 『生活にうるおいを与える食器づくり』 の
改訂版は完売しましたが、改訂前の初版が若干ですが残っています。
ほしい方がおられましたらお分けします。
定価は @1,400円ですが、硬貨だとかさばるので、
お札で、送料込みで @1,000円です。
初版ですが、ページ数は改訂版と変わりません。
少し陶芸経験がある人たちには
一度は読んでほしい、ためになる役に立つ陶芸の手引書です。
ブログでも 「手びねりとろくろ挽きの作陶の基本」 を開示していますが、
閲覧される方が大変多いです。さらに詳しく解説した内容になっています。
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